往路の東農大津野君の精神力のみで芦ノ湖のゴールに向かう姿を見て、精神的な泥沼から脱出できた、今回の第88回箱根駅伝で泣きそうになった復路の名場面。
9~10区の鶴見中継所で、東洋大が問答無用の韋駄天っぷりを発揮し、繰り上げスタートが各校に容赦なく襲いかかってきた、繰り上げ30秒前からドラマが待っていた。
神奈川大学9区の鈴木駿君が推定50m切った場所で脱水症状で転倒。誰がどうみても「目の前だ、頑張れ!!!」と思う場面。鈴木君もおそらく視野狭窄、意識朦朧、めまいで上下左右、前後左右不覚の状態。(自分も1万の練習中経験あり。)必死の思いで立ち上がるも再び昏倒。もうだめか・・・。と思うような東洋大襷渡しから19分50秒が過ぎた場面。
そこで奇跡が。いや、ここまでの練習が培った精神力か、の鈴木君の執念か、TV、ラジオの前の箱根駅伝ファン、沿道の関係者、ファンの想いが現実のものに。必死に倒れ込むような形で10区の高橋君へ襷が伝わった!!!と同時に繰り上げの号砲。
生中継観ていないと伝わらない感動がここにはあった・・・。東洋の完璧な勝ち方、これは記録にも記憶にも残る素晴らしいもの。ただ、TV中継を打ち切られた後、多くのファンが日テレの態度に憤慨してNHKラジオやネットで無事ゴールを確認できたか確認したであろう東農大5区の津野君や神大9区の鈴木君の姿にどれだけのファンが感動したか・・・。
それとピストルを鳴らしたスタッフ。ええ、確かに20分00秒より号砲が2秒くらい遅かったかもしれません。ただ、鈴木君の執念で20分00秒ちょうどには既に高橋君に襷は繋がっていたと。鈴木君が襷渡し済んだのか確認したのか、倒れ込んだ鈴木君をよけようとしたのか、あまりの劇的展開で判断がおくれたか、(あってはなりませんが日本人の美学の根底にある)判官贔屓か、知るよしもありませんし、知りたくも、知る必要もありません。
あの瞬間の号砲スタッフもこの名場面に欠かすことの出来ない出演者、だと実感し今年の正月は過ぎていくのだった・・・。